基本的に、人間、自尊心が強すぎると損をします。
あなたのまわりにもいませんか?
間違いを指摘したり、異なる意見を言ったりすると、すぐ不機嫌そうな顔をする人。
そういうのって、ホント、絡みにくい。
というか、中には平気で目上の人間にそういう態度をとる人もいるので、ただただ驚くばかりですが、例外なく、そういう人って、ろくな人生歩んでません。はっきり言って損してる。
仕事だろうと、私生活だろうと、賢く生きていくために必要なのは、適度な素直さと謙虚さ。
そして、自分のプライド(自尊心)や承認欲求に、どれだけ鈍感になれるか。
そこも非常に大事だと、私は、そう思うわけです。
2007年に「鈍感力(著者:渡辺淳一/出版社:集英社)」という本がベストセラーになりましたが、ちょっとしたことですぐ感情的になったり、ちょっと叱られたくらいで落ち込んでしまう方などには、ぜひ読んでほしい本です。
まずここに一人の男性、K君がいたとして、彼はある会社に勤めています。
会社でK君はそんな優秀でもないが、そんな劣ってもいない。いわゆる平均的なサラリーマンですが、あるときうっかりして、仕事上のミスを犯してしまう。
しかも悪いことに、たまたま上司の虫の居所が悪く、みんなの前でかなり強く叱られます。
まわりにいた仲間は、そのあまりの激しさに驚き、「ちょっと、あの叱り方は、ひどすぎるんじゃない」と同情し、さらには、「あれでは落ちこんで、明日、仕事を休むのではないか」と心配します。
ところが、そんなみんなの心配をよそに、K君は翌朝、いつもの時間に現れて、昨日、叱られたことなどまったく忘れたように、「おはよう」と笑顔で挨拶します。
これを見て、いままで心配していた人たちは思わず、「おはようございます」と返事をしながら、あんなに心配していたのにと、なにやら気が抜けてしまいます。
こうしたK君をどう見るか。
よくいうと、あれだけ怒られたのにほとんど響かず元気なのだから、タフで立派ということになるでしょう。
しかし同時に、上司に厳しく叱られても響かない、「鈍い奴」ともいえそうです。
いずれにせよ、鋭いというか、敏感ではないことだけはたしかです。
これに対して、別のN君は同じように叱られても、K君のように気分の転換がうまくできず、家に帰っても延々と考え、一人で悩み続けます。
それどころか、「俺は駄目だ、どうにもならない奴だ」と自らを責め、「いまさら平気な顔をして会社に行けない」と思い詰め、翌日は休むかもしれません。さらにはそれが尾を引き、一日休んだのが二日になり、三日になり、ずるずる休むうちに、会社を辞めることになりかねません。
この鈍感君と敏感君、二人を比較した場合、圧倒的に強くて、頼り甲斐があるのは鈍感君のほうです。
彼なら、これからなにごとがあっても、たくましく生き抜き、将来、会社の幹部にもなれるかもしれません。
しかし敏感君は、このあとも絶えず挫折して、そのうち親しい友達も敬遠して去っていくかもしれません。
(「鈍感力」(著者:渡辺淳一/出版社:集英社)11ページ~12ページより抜粋)
他人に気を使わせる人間は損をする
無駄に自尊心が強すぎたり、自信過剰だったり、他人の評価に敏感すぎる人間は、結果、他人に気を使わせることになるので、それが度を過ぎてしまうと、「面倒くさい奴」といって周りの人がみんな離れてしまいます。
あいつは、すぐ不機嫌な顔するから、アドバイスするのも面倒くさい、ほっとこう。
そう思われてしまうことほど、仕事をしていて損することはありません。
そりゃぁ、せちがらい世の中ですから、したたかさなんかも必要なのかもしれませんが、最終的には、やっぱり素直で謙虚な人間のまわりに、たくさんの協力者が現れることになります。
今回の記事を読んで、もし、少しでも思い当たるふしがあるようでしたら、「自分の気持ちをしっかりコントロールできているか?」「他人からの評価を気にしすぎていないか?」「認められたい!って強く思いすぎていないか?」「ちっぽけな自尊心が色々なことの妨げになってはいないか?」というようなことを見直してみてはいかがでしょうか?
きっと、明日から、人生変わるはずです。
それぞれの世界で、それなりの成功をおさめた人々は、才能はもちろん、その底に、必ずいい意味での鈍感力を秘めているものです。
鈍感、それはまさしく才能であり、それを大きくしていく力でもあるのです。
(「鈍感力」(著者:渡辺淳一/出版社:集英社)19ページより抜粋)
