スタンフォード大学の心理学者、ケリー・マクゴニガルさんは著書「スタンフォードの自分を変える教室」の中で、自分をコントロールする意志力を磨けば、人生が変わると、そう主張しています。
たしかに、その主張は、誰もが認めるところでしょう。
私も含め、多くの人は、自分の意志が弱いことによって数々の失敗を繰り返します。
毎日、ブログを必ず更新すると決めたのに、ついつい先延ばしして、結局、面倒くさくなってブログをやめてしまったり。
今度こそは禁煙する!と決めたのに、飲み会の席で、ついつい煙草を吸ってしまったり。
正月に目標設定したことが、1年たって振り返ってみたら、ほとんどできていなかったり。
やりたいと思ってたのに、まったくできていなかったり。
やめようと思ってるのに、全然やめられなかったり。
私たちの人生は、こんなことだらけです。
あなたも、きっと身に覚えがあるでしょう?
意志力を要することといえば、まっさきに思い浮かぶのは何でしょうか?たいていの人にとって、意志力が試される典型的なケースは、誘惑に打ち勝つことでしょう。
たとえばドーナツやタバコやクリアランスセール、あるいは一夜限りの恋など、あなたを誘惑するものはさまざまです。
そんな場面で問われるのは、「やらない力」です。
「スタンフォードの自分を変える教室」(著者:ケリー・マクゴニガル/出版社:大和書房)
明日こそ(いや、いつかきっと)やろうと思いながら、ずっと先延ばしにしていることはありませんか?
そういうことも、意志の力が強ければちゃんと今日の”やることリスト”に加えられます。
たとえ心配ごとや気の散るようなことがあったり、延々と続くテレビのリアリティ番組に目が釘づけになっていたりしても。
そんな場面で問われるのは「やる力」です。
面倒だなと思いながらも、自分のやるべきことをやる力のことです。
「スタンフォードの自分を変える教室」(著者:ケリー・マクゴニガル/出版社:大和書房)
「やる力」と「やらない力」は、自己コントロールのふたつの側面を表していますが、意志力はそのふたつだけでは成り立ちません。
(中略)
誘惑に目がくらみそうになったり、物事を先延ばしにしたくなったりしたら、あなたが本当に望んでいるのは、スキニージーンズをはけるようになること、昇進すること、クレジットローン地獄から抜け出すこと、離婚(もしくは刑務所入り)を避けることだと、思い出さなければなりません。
(中略)
自制心を発揮するには、肝心な時に自分にとって大事なモチベーションを思い出す必要があります。
これが「望む力」です。
「スタンフォードの自分を変える教室」(著者:ケリー・マクゴニガル/出版社:大和書房)
意志力とはつまり、この「やる力」「やらない力」「望む力」という3つの力を駆使して目標を達成する(そしてトラブルを回避する)力のことです。
「スタンフォードの自分を変える教室」(著者:ケリー・マクゴニガル/出版社:大和書房)
今日やるべきことを、ついつい明日に先延ばししてしまう。
昨日やるべきだったことが、結局、今日もできなかった。
物事を、ついつい先延ばししてしまうことは、誰にだってあることです。
しかし、仕事やビジネスにおいては、「今やるべきことを先延ばしせずに実行できるかどうか」が、評価や結果に直結します。
先延ばしばかりで行動の遅い人。
口先だけでいつまでたっても実行に移さない人。
こういう人は、職場では無能と判断されますし、何をやらせてもたいした成果は残せません。
だからこそ、みんな、先延ばし癖をなくし、強い意志をもって行動できる人間になりたいと思っているのです。
ケリー・マクゴニガルさんの著書「スタンフォードの自分を変える教室」の中で、この「先延ばし」について詳しく述べられていたのが、第4章で、個人的にはそこが一番興味深かったです。
人には「明日はもっとできる」と考える習性がある。
私たちは先のことを楽観視してしまうせいで、やるべきことがあってもあとでやろうと思うだけでなく、あとになればかんたんにできると思いがちです。心理学者らの研究によって、私たちは今日よりもあとのほうが自由な時間があるはずだという、まちがった予想をすることがわかりました。
(中略)
選択を行うたびに、それが将来にわたってずっと影響を及ぼすことを認識しましょう。
つまり、「このチョコバー、食べちゃおうかな?」ではなく、「これから1年、毎日毎日、午後になったらチョコバーを食べることになるけど、それでもいいわけ?」と確認するのです。
あるいは、やるべきことをずっとやっていないなら、「やっぱりこれは今日やったほうがいいかな、それとも明日でもいいかなあ」ではなく、「ずっとこうやって先延ばしにして、あとでツケが回ってきてもいいの?」と自分に問いかけてみましょう。
「スタンフォードの自分を変える教室」(著者:ケリー・マクゴニガル/出版社:大和書房)
先延ばし癖は、私も含め、誰もが持っている悪い癖。
意志力を鍛えたい方には、おすすめの一冊です。