自己啓発本は役に立たない。
そう主張する人はたくさんいます。
たとえば、「永遠の0」「海賊とよばれた男」などの小説で知られる作家の百田尚樹さん。
この方なんかは、自身のエッセー集「大放言」の中で、「自己啓発本の多くは毛生え薬(ハゲ薬)のようなものだ」と主張されています。
自己啓発本コレクターは、毛生え薬をはしごするハゲと同じ。
自己啓発本は栄養ドリンクのようなもの。飲んだ後は気分がすっきりしてやる気も起こる気がする。でも、その効果も三日くらいで消える。で、また新しいドリンク剤を買う。しばらく飲まないと禁断症状が出て、新しいのを飲みたくなる。だから書店にあれだけ自己啓発本が並ぶ。
たしかに、すごく面白い例えだと思います。
いますよね、自己啓発本ならまだしも、自己啓発セミナーにお金をたくさん使ってるのに、なかなかうまくいっていない人。
セミナーに行くとやる気は出るんだけど、3日もすれば・・・
そんな人いっぱいいるのは、なんとなくわかります。
だから、それなりの会社でお勤めされてる方なんかからすると、「自己啓発本なんて、どうせ、どれも似たような当たり前のことばかり書いてるだけなんだから、そんなものに大金つぎこんでるなんて、アホなん違うか?」と思うのでしょう。
うん、それも、よくわかります。
嫌いな人は、ほんとすごく毛嫌いしますし、のめりこむ人はとことんのめりこむ、自己啓発本や自己啓発セミナーって、そういうものなんだろうなぁと、冷静に客観視すると、そういう構図も見えてきます。
さて、お次は、自己啓発本を肯定している側の話。
自己啓発本が役に立つのか立たないのかを考えるにあたって、すごく面白かったのが、この本。
韓国の大学教授、チェ・ソンラクさんが書いた「自己啓発書を読んでベンツを買った話」です。
この本の何が面白いかって、世間一般の自己啓発書を批判する声に対して真っ向から反論しながら、自己啓発書を肯定する持論を展開している点。
たとえば、先ほども話に出てきましたが、「自己啓発書は短期的に気分をよくしてくれるだけ」という批判に対しては、「って言うか、短期的な影響しか及ぼさない本は、自己啓発書だけに限らないでしょ?」という反論を示したうえで、「だから、読み続ければいいじゃない、そのぶん、ずっと気分よくいられるんだから」という、なかなかの持論を展開しています。
まぁ、これを言っちゃあ終わりなんですけど(笑)、結局、物事のとらえかたなんて人それぞれですからね。
私自身は、自己啓発書なんてものは、読みたい人は読めばいいし、読みたくない人は読まなければいいんじゃないの?と思うわけですが、ただまぁ、これまでに3冊以上、自己啓発書を読んだことがあるような方にとっては、「自己啓発書を読んでベンツを買った話」は、すごくおすすめな本だとは思います。
なぜなら、この本が一般的な自己啓発書とは切り口が異なり、「自己啓発書を、どのように活用すればよいのか?」ということに焦点を絞っているからです。
「今まで100冊以上自己啓発書を読むだけで終わってたけど、1度、書いているとおりにやってみようかな?」
私自身、かなりの数の自己啓発書を読んではみましたが、なかなか、こういう切り口の自己啓発書って、ありそうでなかったんですよね。
まぁ、役に立つ立たないはいったん置いといて、読み物として、かなり面白い。そんな本でした。
だから、「思考は現実化する」とか「7つの習慣」とか、それこそ、昨年ブームになったアドラーの本なんかを読んで、ちょっとやる気にはなったんだけど、だからといって何か変化があったかといえば、そうではない、みたいな方には、ぜひ、読んでみてほしいなとは思います。
結局ね、人生、やるかやらないか、それだけだったりしますよね。
でも、ほとんどの人が、やらないわけですよ。
じゃぁ、「やる」ために、どうするの?
そこが、結局、人それぞれだから、自己啓発書に対して、賛否両論あるんですよね。
ただまぁ、日々の暮らしの中で、きちんと目標を設定して、それに向かって行動を起こすことは、誰がどう見たって尊いことなわけで、そういうことに役立つことがある、それが自己啓発書の存在意義なのかなと。
私は、まだまだ、たいして成功しているわけでもありませんが、そう思うわけです。