私は、1975年4月26日生まれ。
小学校高学年くらいの時期から「ロールプレイングゲーム」に慣れ親しんでいる世代です。
ドラゴンクエストシリーズの第一作が発売されたのが1986年。
それから早いもので、もう30年。
昭和50年生まれ付近の世代の男性なら、「パルプンテ」とか「はぐれメタル」というような言葉を大人になってからも使ったり、使ってはいなくても耳にしたことくらいはあるでしょう。
「経験値を上げてレベルアップすると攻撃力が上がったり魔法が使えるようになったりする」
もちろん現実世界では魔法なんて使えるようにはなりませんが、私たち世代の多くは「経験値を上げることで成長できる」という考え方をゲームを通じて身につけたのではないでしょうか。
また、ドラゴンクエストというゲームは、魔法使いや僧侶というような自分とは違う能力を持つキャラクターと一緒に力を合わせて冒険をしていくのですが、そこから「自分とは違う個性をもった仲間と協力する」ということを学んだ人も多いと思います。
http://japan.cnet.com/sp/smartphone_native/35078404/
最近は、「コンプガチャ」問題や「高額課金」問題で、ゲームに対してあまり良い印象を持たない方も多いでしょうし、私自身も「ガチャ」に関してはきわめて短絡的な印象が強く、そこに夢中になっている人のことは理解に苦しむ部分もあります。
しかし、そこだけを取り上げて「ゲームは良くない」と言ってしまうのも、また違うかなと。
実際のところ、私の周りの同世代の社長連中にはゲームが大好きな人間が多く、いい年のオッサンなのに(笑)いまだにロールプレイングゲームやシミュレーションゲームに夢中になっていたりもします。
もちろん、そういった人たちは決してゲームの中の仮想世界だけにのめりこむのではなく、現実世界でもしっかりとした成果を残し、多くの人に役立つような事業を展開しています。
ゲームデザイナーのジェーン・マゴニガルさんはTedの講演会で、「達成するときまでそれが可能だとさえ思っていなかったような際立って良い結果」のことを表す「エピックウィン(壮大な勝利)」というゲーマーならではの言葉を紹介していますが、この「エピックウィン」は当然、現実世界でも起こり得ることです。
ゲームの中でしかエピックウィンを体感できないのであれば少し寂しい話ですが、現実世界でも努力を重ね、経験値を積み上げていけば、ある瞬間、自分の想像をはるかに超えるような際立って良い結果が生まれるものです。
その感覚って、石原明さんが言うところの「成功曲線」にも近いものがあるのかなとも私は思います。
目標はすべて”成功曲線”を描いて達成していく
「成功曲線を描こう。夢をかなえる仕事のヒント」著者:石原明/出版社:大和書房)
なかなか結果が出なくて、理想と現実のギャップに悩みながらも、あきらめずに努力や勉強、経験を積み重ね、あるとき霧が晴れたように目標達成する。
この「霧が晴れたような感覚」こそが「エピックウィン」ではないかと。
また、ジェーン・マゴニガルさんのTedの講演会での動画には、「カーネギーメロン大学の研究によると、ゲーム文化の強い国の平均的な若者は21歳までにオンラインゲームで1万時間を費やす」という話の流れから、マルコム・グラッドウェルさんの著書「天才!成功する人々の法則」に書かれた「成功の1万時間の理論」が出てくるので、それにもふれておきましょう。
それなりに読書をしているビジネスマンの間では、この「成功の1万時間の理論」は常識ともいえるので、知っておいて損はないと思います。
頂点に立つ人物は他の人より少しか、ときどき熱心に取り組んでいたのではない。
圧倒的にたくさんの努力を重ねている。
複雑な仕事をうまくこなすためには最低限の練習量が必要だという考えは、専門家の調査に繰り返し現れる。
それどころか専門家たちは、世界に通用する人間に共通する”魔法の数字(マジックナンバー)”があるという意見で一致している。
つまり1万時間である。
「調査から浮かびあがるのは、世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも、1万時間の練習が必要だということだ」
そう述べるのは、神経学者のダニエル・レヴィティンである。
「作曲家、バスケットボール選手、小説家、アイススケート選手、コンサートピアニスト、チェスの名人、大犯罪者など、どの調査を見てもいつもこの数字が現れる。
もちろん、だからと言って、一部の者が他の者よりも、練習から大きな成果が得られる理由がわかるわけではない。
だが、1万時間より短い時間で、真に世界的なレベルに達した例を見つけた調査はない。
まるで脳がそれだけの時間を必要としているかのようだ。
専門的な技能を極めるために必要なすべてのことを脳が取り込むためには、それだけの時間が必要だというように思える」
「天才!成功する人々の法則」著者:マルコム・グラッドウェル/出版社:講談社
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO77114750W4A910C1000000/
さて、話を「ゲーム」に戻しますが、2014年9月18日の日経新聞のサイトの記事に「マインクラフトを教育に生かす」というものがありました。
この記事を読むと、ゲームというのは決して「害」になるだけのものではなく、活用方法によっては教育にも役立つということが感じ取れるのではないでしょうか。
ゲームで築くより良い世界。
興味があれば、ぜひ、ジェーン・マゴニガルさんはTedの講演会の動画をご覧ください。
きっと多くの気づきがあるはずです。